( control for four-rotor mini helicopter * y. koike

4
1 1) ) 2 Fig.1 z 1 M 2 M 3 M ( ) + × = I I M (1) I [ ] T ϖ ϖ ϖ 1 2 3 = [ ] 1 2 3 T M M M = M 12 13 23 0 I I I = = = (1) 1 1 2 2 3 3 p u p u p u ϖϖ ϖϖ ϖϖ 2 3 1 3 1 2 = + (2) 1 2 3 1 ( ) p I I I = - 2 3 1 2 ( ) p I I I = - 3 1 2 3 ( ) p I I I = - i i i u M I = 4 3 2 3 4 1 2 1 4 1 2 3 1 2 q q q q q q q q q q q q - - = - - - - q (3) [ ] 1 2 3 4 T q q q q = q 2 2 2 2 1 2 3 4 1 q q q q + + + = Control for Four-Rotor Mini Helicopter * Y. Koike (Niigata University) and M. Yokoyama (Niigata University) Abstract This note discusses a control strategy for mini helicopters having four rotors. Based on the backstepping method, a sliding mode controller is designed to stabilize the hovering helicopter, of which the kinematic model is represented with quaternion variables. Numerical simulation illustrates the robustness of the closed loop system against disturbances such as a gust of wind. Key Words: Backstepping control, Sliding mode control, Stabilization, Air vehicle 48 2005 11 25 26 JA Fig.1 Model of Four-Rotor Mini Helicopter 2 2 , M 3 3 , M z y x 1 1 , M G2-13 713 05PR0002/05/0000-0713 ¥400 © 2005 SICE

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Page 1: ( Control for Four-Rotor Mini Helicopter * Y. Koike

1 緒言 ヘリコプターは,ホバリング,垂直離着陸など魅力的な特性を生かして様々な分野で活躍している.特に,大きなペイロードを必要としない分野では,無線操縦による小型ヘリコプターが積極的に利用されており,完全自律制御の研究も盛んに行われている.しかし,一般にヘリコプターは,強い非線形ダイナミクスを有することや,風などの大きな外乱を受け易いなどの理由から,その制御は容易ではない. 無線操縦,完全自律制御のヘリコプターは,メインローターとテールローターを有する2ローターのタイプが主流であるが,その他タンデム型,同軸反転型,4ローター型など様々なタイプがある.それぞれに一長一短があるが,本研究では4ローター小型ヘリコプターの制御に関して検討する.4ローター型は,ローター回転数の操作のみで姿勢変化が可能なため,2ローター型で多く用いられているスワッシュプレートなどの複雑な機構を必要としない1).したがって,制御器設計は比較的容易である可能性がある. 本報告では,4ローター小型ヘリコプターの姿勢制御について検討する.まず基本的な問題として,ホバリングに必要な姿勢の安定化問題を考え,バックステッピング法を基礎とした制御器設計を行う.バックステッピング法は,スペースクラフトの回転運動など,動的モデルと幾何モデルが直列結合となる構造を有するシステムに対して有効な設計手法である2).ロバスト性能の向上のために,スライディングモード制御理論も併用し,制御器の有効性を数値シミュレーションによって検証する.

2 ヘリコプターの構造と数学モデル

Fig.1に4ローター小型ヘリコプターの構造を示す.前後のローターは反時計方向,左右ローターは時計方向に回転するため,ホバリング状態では4つのローターで発生するカウンタートルクを相殺できる.ヘリコプター z軸方向に発生させる揚力は,4つのローターが発生する揚力の和となる. 姿勢の変化は,4つのローター回転数の和を保ったまま,それぞれの回転数をわずかずつ操作することで行う.ローリングモーメント 1M を発生するには,右ローター回転数を下げ,左ローター回転数を上げる.ピッチングモーメント 2M は,前後について同様の操作を行う.また,ヨーイングモーメント 3M は,左右

ローター回転数を同時に上げ,前後ローター回転数を同時に下げることで発生する. 4ローターヘリコプターの姿勢運動は,次のオイラー方程式で記述できる.

( )+ × =Iω ω Iω Mɺ (1) ここで,Iは慣性テンソル, [ ]Tω ω ω1 2 3=ω は角速度ベクトル, [ ]1 2 3

TM M M=M は入力トルクベクトルを表している.機体座標系を慣性主軸上にとれば慣性乗積は 12 13 23 0I I I= = = となるので,式(1)は次のように書ける.

1 1

2 2

3 3

p u

p u

p u

ω ωω ωω ω

2 3

1 3

1 2

= + ωɺ (2) こ こ で , 1 2 3 1( )p I I I= − , 2 3 1 2( )p I I I= − ,3 1 2 3( )p I I I= − , i i iu M I= としている. 姿勢を表現するパラメータとして,四元数を用いると,次の幾何モデルが得られる.

4 3 2

3 4 1

2 1 4

1 2 3

1

2

q q q

q q q

q q q

q q q

− − = − − − − q ωɺ (3) ここで, [ ]1 2 3 4

Tq q q q=q は四元数を表し,

2 2 2 21 2 3 4 1q q q q+ + + = である.

4ローター小型ヘリコプターの制御 ○小池雄史(新潟大学) 横山誠(新潟大学) Control for Four-Rotor Mini Helicopter

* Y. Koike (Niigata University) and M. Yokoyama (Niigata University)

Abstract---- This note discusses a control strategy for mini helicopters having four rotors. Based on the backstepping method, a sliding mode controller is designed to stabilize the hovering helicopter, of which the kinematic model is represented with quaternion variables. Numerical simulation illustrates the robustness of the closed loop system against disturbances such as a gust of wind. Key Words: Backstepping control, Sliding mode control, Stabilization, Air vehicle

第 48 回自動制御連合講演会 2005 年 11 月 25 日,26 日 JA長野県ビル

Fig.1 Model of Four-Rotor Mini Helicopter

2 2,ω M

3 3,ω M

z

y

x1 1,ω M

G2-13

713

05PR0002/05/0000-0713 ¥400 © 2005 SICE

Page 2: ( Control for Four-Rotor Mini Helicopter * Y. Koike

3 制御器設計 式(2),(3)で記述される姿勢運動は,直列結合の構造になっているため,バックステッピング法を基礎に安定化制御器を設計する.すなわち,まず角速度ωを式(3)のシステムへの擬似的な入力とみなして,このサブシステムを安定化する制御則を導く.その後,このωを実現する実制御入力u を決定する.また,モデル化誤差や風外乱に対してロバストな制御器を得るため,スライディングモード制御理論を併用する.

3.1 バックステッピング法 式(3)のサブシステムを安定化する理想的な角速度iωɶ を決定するために,次のリアプノフ関数の候補を考える.

( )22 2 21 2 3 4

11

2V q q q q = + + + − for 4 0q >

( )22 2 21 2 3 4

11

2V q q q q = + + + + for 4 0q < ここで, 4q による場合わけは,初期条件によって回転運動の方向が異なることによる.上式は,まとめると次式のように表現できる.

( )22 2 21 2 3 4 4

11 sgn( )

2V q q q q q = + + + − (4) 式(4)を時間について微分し,さらに式(3)を代入すると次式を得る.

( )( )4 1 2 2 3 3

1sgn

2V q q q qω ω ω1= + +ɺ (5) そこで,これが負定となるように, iω の理想的な関数

iωɶ を決定する.最も簡単なものとして,次の線形フィードバックが考えられる.

( )4sgni iq aqω = − ⋅ɶ for 1, 2,3i = (6) ここで,aは正の定数である.実際,式(6)を式(5)に代入すると,Vɺ が次のように負定となるのが確認できる.

32

412 i

i

aV q q

== − ∑ɺ (7) 式(6)の iωɶ は iω に追従される関数であるので,しばしば追従関数とも呼ばれる. ここでは,線形追従関数を用いたが,非線形関数を用いることも考えられる.一般に,速応性と外乱・モデル化誤差に対するロバスト性を考慮するとハイゲインになるが,入力飽和などの問題が生じるため,トレードオフが必要である.例えば文献2)では逆正接関数を用いているが,ここでは飽和特性を有する次式の双曲線正接関数を考える.

( ) ( )4sgn tanhi i iq qω γ κ′ = − ⋅ɶ for 1, 2,3i = (8) ここで iγ ,κ は正の定数である.このとき,Vɺ が負定となることは,以下のように容易に示される.

( )3

41

1tanh

2 i i ii

V q q qγ κ=

= − ∑ɺ (9)

iγ ,κ は大きくとると iu の増大を招くため,入力トルクの限界を考慮して設計する.

次に,バックステッピング法の第2ステップとして, iω が iωɶ に追従するように式(2)の入力 iu を設計する.システム全体について,次のリアプノフ関数の候補を考える.

( )3

22 2 2 21 2 3 4 4

1

1 11 sgn( )

2 2a ii

V q q q q q e=

= + + + − + ∑ (10) ここで, i i ie ω ω′= − ɶ は追従誤差を表している.式(10)を時間について微分し,さらに式(2),(3),(8)を代入すると次式を得る.

( )

( )

( )

( )

3

41

11 1 2 3 1 1 4 1

1

22 2 3 2 2 4 2

2

33 3 3 3 4 3

3

1tanh

2

1sgn

2

1sgn

2

1sgn

2

a i i ii

V q q q

de p u q q q

dq

de p u q q q

dq

de p u q q q

dq

γ κ

ωω ω

ωω ω

ωω ω

=

1

1 2

= −

′ + + − +

′ + + − +

′ + + − + ∑ɺ ɶ ɺɶ ɺɶ ɺ

(11)

これが負定関数となるように,例えば, iu を次のように決定する.

( )11 1 2 3 1 4 1 1

1

1sgn

2

du p q q q ge

dq

ωω ω′

= − + − −ɶ ɺ (12)

( )22 2 3 2 4 2 2

2

1sgn

2

du p q q q ge

dq

ωω ω1

′= − + − −

ɶ ɺ (13)

( )33 3 3 4 3 3

3

1sgn

2

du p q q q ge

dq

ωω ω1 2

′= − + − −

ɶ ɺ (14) ただし, iqɺ は式(3)から得られる.また,gは正の定数とする.実際,式(12)-(14)を式(11)に代入すると, aVɺ は次のように負定となる.

( )3 3

24

1 1

1tanh

2a i i i ii i

V q q q g eγ κ= =

= − −∑ ∑ɺ (15)

3.2 スライディングモード制御 前節では記述の簡単のために外乱・モデル化誤差を陽に表さずに議論したが,ここでは式(2)にトルク外乱ベクトルdを加えた次のシステムを考える.

1 2

2 1

3 1 2

p

p

p

ω ωω ωω ω

3

3

= + + ω u dɺ (16) 前節で述べたバッステッピングの第2ステップでは,第1ステップと同様にリアプノフアプローチによってuを設計したが,ここでは,スライディングモード制御理論を用いた設計を行う.このアプローチでは,ωを ′ωɶ に追従させるために,誤差空間 ′= −e ω ωɶ においてスライディングモードが生じるようにuを設計する.まず,eに関する切換関数を次のように定義する.

714

Page 3: ( Control for Four-Rotor Mini Helicopter * Y. Koike

=e eσ S e (17) もし,誤差空間でスライディングモードが発生していると仮定すると,次の関係が成り立つ.

= =e eσ σ 0ɺ (18) 式(18)より,外乱 =d 0と仮定すると,理想的なスライディングモードを記述する,いわゆる等価制御入力は次のように求まる.

11

11 2

22 1 2

23 1 2

33

3

dq

dqp

dp q

dqp

dq

dq

ω

ω ωωω ω

ω ωω

3

3

′ ′ = − + ′ equ

ɶ ɺɶ ɺɶ ɺ (19) 様々なスライディングモード制御理論が応用できるが,ここでは,多入力システムに対して有効的な手法である単位制御法を用いる.この手法では,制御則は式(19)の等価制御入力 equ と非線形入力 nu によって構成される.

= +eq nu u u (20)

nu は次のような単位制御入力で,

1ρ −= − en e

e

σu S σ (21) ここで, ρ は切換ゲインを表している. いま,誤差空間でスライディングモードが発生するための条件について考える. eσ に関するリアプノフ関数の候補を次のようにとる.

1

2T

eV = e eσ σ (22) 式(22)の時間について微分し,式(16),式(19)-(21)を代入すると次のようになる.

( ) 0TeV ρ ρ= − + ≤ − − <e e e e eσ σ S d σ S dɺ (23) これより,スライディングモードの存在条件は,

ρ > eS d (24) となる.式(24)を満足するように ρ を選択すれば,誤差空間でスライディングモードの発生を実現できる.外乱が状態変数に依存し,さらにこれの上界に関する事前情報があるときは,ρ を状態変数の関数として決めることができる.ひとたびスライディングモードが発生すれば,ωはトルク外乱dに対してロバストに ′ωɶを追従する.

4 数値シミュレーション 提案する制御器の有効性を検証するために数値シミュレーションを行った.慣性モーメントのノミナル値は,現在試作中の実機から算出し,次の値を得た.

-31 7.04 10I = × , -3

2 7.04 10I = × , -3 23 13.6 10 [ ]I kg m= × ⋅ また姿勢の初期値は任意にとり,

0( ) [0.0699 0.4989 0.3006 0.8098]Tt =q とした.これはZYXオイラー角で表現すると,Z軸回りに60[deg],Y軸回り50[deg],X軸回り40[deg]の姿勢である.また,角速度の初期値は次のように与えた.

[ ]0( ) 0 0 0T

t =ω 式(8)の追従関数のパラメータは,実機の最大入力トルクなどを考慮して, 1s = , 1iγ = , 5κ = と設定した. また,モデル化誤差に対するロバスト性を検証するため,制御対象の慣性モーメントを20%増加してシミュレーションを行った.これはカメラなどの測定機器の搭載を想定している.さらに,風外乱に対するロバスト性を検証するために,Fig.3に示す風を想定したトルク外乱を数秒間入力した.

eS は単位行列,風やモデル化誤差を含むトルク外乱ベクトルの大きさを 0.9<d と仮定し,これらより切換ゲイン ρ は式(24)を満たすように ρ = 1と設定した. また,式(21)のような非線形入力を用いると一般に激しいチャタリング現象を引き起こすことが考えられるため,代わりに次の滑らかな入力

ρδ

= −+e

nle

σu σ (25) を導入した.シミュレーションでは 0.05δ = と仮定したが,実際には実機アクチュエータなどの特性を考慮して決める必要がある. 提案するバックステッピングコントローラの数値シミュレーション結果をFig.2 (a)-(d)に示す.ここには示していないが,線形バックステッピング制御器のシミュレーション結果との比較から,提案する制御器はより小さな入力トルクで同等の収束性能が得られたことを確認している.Fig.2 (d)の切換関数を見ると,シミュレーション開始から約1.5秒後に原点に到達し,以後,ほぼ原点近傍に留まっており,擬似スライディングモードが発生していると見なせる.Fig.2 (a)において1.5秒以降の擬似スライディングモード発生中は大きな姿勢の変動は見られない.これはωがトルク外乱dに対してロバストに ′ωɶ を追従し,結果として式(8)のハイゲインフィードバックがほぼ実現されているためだと考えられる.また,ここにはシミュレーション結果を示していないが,慣性モーメントのモデル化誤差に対してもロバスト性が得られたことを確認している.以上より,提案する制御器のロバスト性および有効性が示せた.

5 結言 本報告では,4ローター小型ヘリコプターのシンプルな構造に着目し,これの制御器設計に関して論じた.基本的な問題として,その姿勢制御にバックステッピング手法で制御器設計を行った.また,線形バックステッピング制御器の問題点を克服するために,スライディングモード制御理論を併用した制御器を提案し,数値シミュレーションによって,モデル化誤差や風外乱に対してロバストであることを確認した.今後,姿勢安定化のみならず,位置制御に関しても検討する予定である.

715

Page 4: ( Control for Four-Rotor Mini Helicopter * Y. Koike

0 2 4 6 8 10-0.2

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

1.2

Time [sec]

Qua

tern

ion

q1q2q3q4

(a)Quaternion

0 2 4 6 8 10-0.8

-0.6

-0.4

-0.2

0

0.2

Time [sec]

Ang

ular

Vel

ocity

[ra

d/se

c]

ω1

ω2

ω3

(b)Angular Velocity

0 2 4 6 8 10-0.015

-0.01

-0.005

0

0.005

0.01

Time [sec]

Tor

que

[Nm

]

M1

M2

M3

(c)Torque

0 2 4 6 8 10-0.2

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

1.2

Time [sec]

Sw

itchi

ng F

unct

ion

σe1

σe2

σe3

(d)Switching Function Fig. 2 Simulation results using the proposed sliding mode

controller

0 2 4 6 8 10-4

-2

0

2

4x 10

-3

Time [sec]

Dis

turb

ance

Tor

que

[Nm

]

Mdis1

Mdis2

Mdis3

Fig. 3 Disturbance Torque

6 参考文献

1) P.Castillo, A.Dzul and R.Lozano, Real-Time Stabilization and Tracking of a Four-Rotor Mini Rotorcraft, IEEE Trans-actions on Control Systems Technology, 12-4, 510/516 (2004)

2) K.Kim and Y.Kim, Robust Backstepping Control for Slew Maneuver Using Nonlinear Tracking Function, IEEE Trans-actions on Control Systems Technology, 11-6, 822/829 (2003)

3

716